テレワークとは?成功に導くポイントと導入事例5選

テレワークとは?成功に導くポイントと導入事例5選

ICT(情報通信技術)を利用することで、場所や時間を選ばない新しい働き方として、テレワークが注目を集めています。政府が推進する働き方改革や感染症の影響もあり、テレワークは確実な広がりを見せています。

この流れをうけて、「自社にテレワークを導入したい」あるいは「テレワークをもっと上手に活用して生産性を上げたい」と考える企業も多いことでしょう。

今回はそんな企業担当者に向けて、テレワークのメリットやデメリット、生産性を上げる活用方法、また成功事例をご紹介します。

 

 

テレワークの5つのメリット

企業担当者であれば、テレワークを導入する前にメリットを把握することで、導入の可否や運用方法などを検討したいと思われるのではないでしょうか。ここでは、テレワークがもたらす5つのメリットをご紹介します。

①経費の節減

テレワークは、従業員がオフィス以外の場所で業務を行うため、交通費や光熱費、オフィスの賃料、デスクなどの備品にかかる経費を削減することが可能です。

節約できる経費は、企業の収益に大きな影響を与えます。2020年に、売上高や利益を上方修正した上場企業654社のうち、44.1%にあたる289社が、その要因として「テレワークの浸透による経費減少」を挙げています。(2021年1月14日、東京商工リサーチ調べ:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210114_01.html

②多様な働き方の促進

テレワークは通勤の必要がないため、居住地を気にせず採用することが可能です。また、出産や育児、介護などで離職を考える従業員も、テレワークであれば業務を続けられるかもしれません。仮に一時的に離職した場合でも、復職しやすくなるでしょう。

テレワークは優秀な人材、経験ある従業員の採用と、定着率の向上というメリットがあります。

③災害時の素早い対応

テレワークは、非常時のリスク分散を可能にします。大規模な災害により、本社や支社の建物が損害を被った場合でも、被害のない地域で働くテレワーカーによって業務を続ける、あるいはカバーすることが可能なので、影響を最小限にとどめることができます。

対面での接触が必要ないテレワークは、感染症への対策として効果的です。

④企業のイメージアップ

テレワークの導入を内外に示すことにより、企業のイメージアップを図ることができます。

テレワークの導入は、政府の推し進める「働き方改革」に沿った取り組みなので、「先進的な企業」「従業員の生活や健康を大切にする企業」といった印象を与えるでしょう。

企業のイメージアップにより、働く従業員のモチベーションの向上や、優秀な人材を採用しやすくなるといった効果も期待できます。

⑤従業員の生活の充実

テレワークは、通勤によるストレスや事故の危険性を軽減できます。空いた時間を家族と過ごしたり、休息や趣味に用いたりすることにより、従業員の生活が充実するでしょう。

また、自らが働きやすい環境を選び、よりいっそう業務に打ち込むことで、生産性の向上も期待できます。

テレワークは、仕事とプライベートの程よいバランス、「ワークライフバランス」の実現を可能にするのです。

 

テレワークの3つのデメリット

テレワークには、企業と労働者の双方に多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。重要なのは、デメリットをしっかり把握し対応することで、テレワークの効果を最大限に引き出すことです。

ここでは、テレワーク導入により考えられる3つのデメリットをご紹介します。

①情報漏えいのリスク

機密性の高いデータを社外で扱うことにより、情報漏えいのリスクが高まります。社外ネットワークの利用や、使用するパソコンのセキュリティの脆弱性が理由で、情報が流出してしまう恐れがあります。

また、公共の場ではパソコン画面をのぞき見られたり、不注意によってパソコンや端末を紛失したりするなどの危険性も想定できるでしょう。

技術的なセキュリティ対策として、本人認証や端末認証による不正アクセスの防止、セキュリティソフトやファイヤーウォールの活用などを検討しましょう。また、USBメモリの使用を禁止したり、貸与パソコンを自宅に持ち帰るときには寄り道をしないよう注意喚起したりするなど、情報の扱いに関するルールを策定し、研修会などを開いて周知することもおすすめです。

②労務管理の煩雑化

テレワークを導入すると、従業員の勤務場所が分散することにより、上司がテレワークを利用する従業員の労働時間や勤務態度を正確に把握するのが難しくなることが予想されます。

社員の勤務状況を把握するため、勤怠管理ソフトを導入したり、ルールを刷新したりすることで、新しい労務管理体制を構築できるでしょう。

テレワーク導入に対応した就業規則の作成に迷われる方は以下をぜひご参照ください。

参照:厚生労働省 テレワーク総合ポータルサイト 

③従業員のコミュニケーション不足

テレワークにより、従業員同士のコミュニケーションが不足する可能性があります。緊密な連携が取れないと、業務効率が低下したり、大きなミスを招いたりする危険性が高まります。また、チームとしての一体感が薄れてモチベーションが下がると、生産効率にも影響を与えかねません。

コミュニケーションツールとしてビジネスチャットやグループウェア、社内SNSなどを活用することで、チームとして働いていることを意識できますし、業務上のやり取りを記録として残し、共有することもできます。

 

テレワーク導入を成功させる5つのポイント

テレワークによるデメリットを回避しつつ、メリットを最大限に生かすには、テレワークをただ導入するだけではなく、上手に運用しなければなりません。

①テレワーク導入・運用の体制を整える

テレワーク導入にあたり、経営陣が明確なビジョンをもって指揮することが重要です。テレワーク導入のためのプロジェクトチームを立ち上げ、各部署と連携を取りながら進めると円滑に進められるでしょう。

プロジェクトチームは、テレワークによる実績と課題を定期的にチェックする必要があります。従業員の意見を取り入れつつ、制度やルールを見直すことで、作業環境の充実を図ることができます。

テレワークを周知するためのセミナーや、電子機器の扱いに不慣れな従業員をサポートするための研修会などを開催することもおすすめです。

②効果が見込まれる人員・部署から始める

テレワークを導入する際は、全社一斉開始ではなく、効果が見込まれる部署や人員から段階的に始めると良いでしょう。導入は育休対象の社員に限定したり、人事や総務など、比較的テレワークになじみやすい管理部門から始めたりするなど、工夫することが必要です。

③データの電子化を進める

業務に必要なデータが紙媒体で管理されている場合、テレワークの大きな障害になりかねません。この機会に、データの電子化・ペーパーレス化を進めましょう。データの電子化・ペーパーレス化は、紙代やインク代などのコスト削減にも効果的です。また、日本に長く根付くハンコ文化を見直す機会にもなるでしょう。

業務のスピードが落ちないよう、現在行われている承認作業の見直しや電子サインの導入をぜひ検討してみてください。

④Webツールを充実させる

テレワークでは、テレワーカーとの打ち合わせ時にWeb会議ツールを利用できます。「zoom」「Team」「Google meet」などは、無料版(※一部制限あり)が提供されており、メールアドレスを登録するだけですぐに利用を開始できます。

従業員同士のコミュニケーションを円滑にするために、チャットツールの利用を検討するのも良いでしょう。「Slack」「ChatWork」「Microsoft Teams」などは、シンプルなやり取りであれば無料で利用できるプランもあるので、一度使い勝手を試してみることをおすすめします。

また、「Dropbox」「Googleドライブ」「OneDrive」を使えば、テレワーク時でもクラウドでデータやファイルを共有することができます。

⑤各種サポートを活用する

テレワークの導入に関して、以下の無料相談や助成金を活用することができます。

「テレワーク相談センター」は、テレワークに関する様々な相談に無償で対応しています。気になる方は、下記URLからテレワーク導入に役立つ各種資料をダウンロードしてみてください。

参照:テレワーク相談センター

「人材確保等支援助成金」は、テレワークを新規導入することにより、労働者の人材確保や雇用管理の改善において効果を上げた中小企業に支給される助成金です。

参照:人材確保等支援助成金(テレワークコース)

「IT導入補助金2021」は、中小企業・小規模事業者のITツール導入を補助する支援事業です。

参照:IT導入補助金2021

 

テレワークの導入事例5選

テレワークの導入方法や運用方法について、成功をおさめている企業の事例を知ることで、ヒントを得ることができます。

ここでは、テレワークの導入に成功した5つの企業をご紹介します。

①株式会社タカラトミー

株式会社タカラトミーは、育児・介護により時間の制約がある社員を対象に、週1回を上限に自宅での作業を許可しています。パソコンやインターネット環境は利用者自身が用意するため、会社はヒアリングシートを用意し、パソコンのスペックやウイルス対策などを確認しているそうです。

ICTツールの活用は、海外駐在の社員とのWeb会議や電話会議による打ち合わせにも効果を発揮しています。2018年には新たな取り組みとして、日本とアメリカをつないだWeb研修を行ったところ、大変わかりやすいと好評だったようです。

参照:東京都産業労働局 「TELEWORK 活用ヒント 製造業」

②ライフネット生命保険株式会社

参考:ライフネット生命保険株式会社公式サイトより

ライフネット生命保険会社では、4か月間のトライアル実施後にテレワークを正式導入しました。テレワークの対象は正社員で、週3回を上限としています。申請は四半期ごとに行い、生産性が認められた社員のみ利用できます。

自宅のパソコンから社員のパソコンにリモートアクセスするサービスを導入し、共有フォルダへのアクセス制限を設けることで、個人情報のセキュリティ性を確保しています。チャットツールを活用しているため、コミュニケーションにも問題ありません。

また、在宅勤務の働きやすさなどを確認するため、定期的に面談やアンケートを実施しているそうです。テレワークについては、新幹線通勤や育児などにより、時間の制約がある社員からは好評なほか、生産性向上を実感する声も上がっているとのことです。

参照:東京都産業労働局 「TELEWORK 活用ヒント 金融業・保険業」

③株式会社イマクリエ

参考:株式会社イマクリエ公式サイトより

コールセンターのオペレーションを主な業務とする株式会社イマクリエでは、常時100~130人がテレワークで業務に従事しています。業務上の指示や報告などのコミュニケーションには、チャットツールやWeb会議を使用することで、円滑な意思の疎通を図っています。

採用面接もWeb会議で行うことで、日本全国から業務能力の高いディレクターや、家庭の事情ゆえに出社できないオペレーターなど、優秀な人材のを確保できているとのことです。

また、これまでのテレワーク経験を活かし、テレワーク導入をアドバイスするコンサルティング事業にまで活躍の場を広げることで、テレワークを単なる業務形態ではなく、事業の柱に据えることにも成功しています。

参照:東京都産業労働局 「TELEWORK 活用ヒント サービス業」

④都築電気株式会社

参考:都築電気株式会社公式サイトより

都築電気株式会社は、2か月のトライアルを経てテレワークを正式導入。その後、毎年5月と11月を「都築テレワーク月間」と銘打ち、社内通知を強化したところ、テレワーク利用者が増えました。現在、全社員の40%に当たる400人が、テレワーク(週2回まで)を利用しています。

自前のビジネスチャットを利用して、従業員同士のやり取りだけでなく、始業・終業の報告も行うことで、勤怠管理を簡素化しています。

テレワークの利用による通勤時間が削減され、空いた時間で睡眠をとったり趣味の時間に充てることでリフレッシュでき、社員の健康増進にも役立っていることを実感しているようです。

参照:東京都産業労働局 「TELEWORK 活用ヒント 卸売業・小売業」

⑤株式会社パルコ

参考:株式会社パルコ公式サイトより

株式会社パルコは全社員の40%以上が女性のため、育児や介護などによる制約から解放された、自由な働き方を推進する目的でテレワークを導入しました。

特徴は、従業員からの意見を反映させたルール作りです。週2日の在宅勤務を、月8日以内でまとめて利用できるようにしたり、1日2時間の在宅勤務を、1週間続けて利用できるようにしたりするなど、柔軟な運用方法をとっています。

また、テレワークによって短時間勤務者でも帰宅後に数時間ほど在宅勤務ができるようになり、勤務時間の制約がある従業員にチャンスを提供できるようになったことも、大きな効果の一つと言えます。

テレワークを利用できない従業員からネガティブな反応を生じさせないために、在宅勤務者側からスケジュールや業務内容の共有、また、コミュニケーションを図ることを大切にしているようです。

参照:東京都産業労働局 「TELEWORK 活用ヒント 卸売業・小売業」

 

早速、テレワーク導入を検討してみましょう

働き方改革の推進や感染症の影響など、変化する社会情勢を鑑みると、テレワークの導入は早急に検討すべき課題と言えるでしょう。

もちろん、綿密な計画のもとにテレワークを導入しても、問題が発生することは十分考えられます。しかし、次々に見つかる課題一つ一つに会社全体で取り組むことで、解決の糸口を見つけることができるはずです。

今回の記事を参考に、自社に合ったテレワークの運用方法を見つけてみてはいかがでしょうか。

 

 

▼働き方改革に関する記事はこちら

 

 

執筆者 Toshiyu

Toshiyuさんプロフィール電力関連の仕事に13年従事、その後インドネシアに移住して一年のほとんどを海外で過ごす。現在はライターとしてフリーランス・副業・複業に関する記事を執筆。自由な働き方に挑戦する読者へ役立つ情報の発信を目指しています。

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