【2021年版】有料職業紹介の申請の流れと許可要件について解説

【2021年版】有料職業紹介の申請の流れと許可要件について解説

自分に合った仕事を探すため、多くの求職者が利用している有料職業紹介。

厚生労働省の発表によると、令和元年の有料職業紹介による新規求職申込は、約2,000万件で前年比17.9%の増加、手数料収入は5,874億円で前年比8.4%増加となっており、有料職業紹介業のニーズの高さがうかがえます。

これから有料職業紹介業への進出を検討している企業は、「有料職業紹介業の始め方は?」「必要な資格や書類は?」「そもそも有料職業紹介とは?」といった疑問をもつかもしれません。

そこで今回は、「有料職業紹介とは何か」や、「有料職業紹介の許可要件や申請までの流れ」について解説していきます。

 

有料職業紹介とは

有料職業紹介とは、就職や転職を希望する方と、人材を探している企業をマッチングさせるサービスです。有料職業紹介を扱う職種は幅広く、港湾運送業と建設業務を除くすべての職種を紹介することができます。

主な収入源は紹介手数料

有料職業紹介業では、紹介した求職者を採用した企業から、報酬として紹介手数料を受け取るため、「有料職業紹介」と呼ばれています。

企業から受け取れる紹介手数料として、「上限手数料」と「届出手数料」の2種類があり、どちらかを選択しなければなりませんが、「届出手数料」を選ぶ企業が多いです。

有料職業紹介の事業者は、取扱分野に応じて上限手数料と届出手数料を併用できますが、同一の事業に対して併用して徴収することはできません。

上限手数料

上限手数料とは、求職者に支払われた賃金の11%(免税事業者は10.3%)に相当する額を上限に徴収できる手数料です。

また、同じ求職者が6か月を超えて雇用された場合、6か月分の賃金の11%相当額を上限に徴収することができます。

届出手数料

届出手数料とは、有料職業紹介事業の申請時に、厚生労働大臣に届け出た手数料の額を徴収することができる手数料のことです。求職者の年収の10~30%が相場となっています。

求職者は一部を除き無料で利用できる

求職者は基本的に無料で有料職業紹介を利用できますが、特定の職種の求職については「求職受付手数料」を徴収することが認められています。

以下の職種については、一件につき710円(免税事業者は660円)を上限に受付手数料を徴収できます。

  • 芸能家
  • 家政婦(夫)
  • 配ぜん人
  • 調理師
  • モデル
  • マネキン

人材派遣業との違い

有料職業紹介は、求職者と企業をマッチングさせることから人材派遣業と混同されやすいですが、雇用の契約形態に大きな違いがあります。

人材派遣業では労働者は派遣先で働きますが、雇用契約は派遣会社と結ぶため、給与は派遣会社から払われます。一方で、有料職業紹介は求職者と企業が直接雇用契約を結ぶため、給与は勤め先の企業から支払われます。

誰と雇用契約を結ぶかという点で、有料職業紹介と人材派遣業には大きな違いがあるのです。

有料職業紹介事業開業のための許可要件

有料職業紹介を始めるためには、満たすべき要件が細かく定められています。ここでは、有料職業紹介事業開業の許可要件をご紹介します。

1.財産に関する要件

有料職業紹介を安定的に遂行するに足りる、以下の財産基準を満たしておく必要があります。

  • 資産の総額から負債を控除した額が、500万円に、有料職業紹介を行おうとする事業所の数を乗じた額以上である
  • 事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150万円に、有料職業紹介を行おうとする事業数の数から1を減じた数に60万円を乗じた額以上である

資産総額に関しては、現金だけではなく土地や株などの資産も計上できますが、仮に銀行から借り入れなどがあれば、その分が総資産から引かれるので注意が必要です。

例えば、3つの事業所で有料職業紹介を行う場合は以下の計算式になります。

資産の総額

500万円×3(事業所数)=1,500万円

事業資金

150万円+〔60万円×3(事業所数)-1〕=270万円

2.個人情報の管理体制に関する要件

有料職業紹介は、求職者の個人情報を取り扱うことになるため、個人情報を適切に管理するために必要な措置が講じられていなければなりません。

例えば、以下のような条件を満たしている必要があります。

  • 個人情報を適切に管理し、業務以外の目的での利用を禁止し、それを漏らしたりしないことについて職員への教育が実施されている
  • 個人情報の取扱いに関する苦情を迅速かつ適切に処理する
  • 個人情報の紛失・改ざんを防止するための措置が講じられている
  • 必要がなくなった個人情報を破棄、または削除するための措置が講じられている

3.職業紹介責任者に関する要件

有料職業紹介を始めるにあたり、職業紹介の業務に従事する従業員50名あたり1名の職業紹介責任者を選ばなければなりません。

また、事業所が複数の場合は、事業者ごとに専属の職業紹介責任者を選ばなければなりません。

職業紹介責任者として選任できるのは、以下の要件を満たしている場合です。

  • 成年に達したあと3年以上の職業経験がある
  • 労働関係法令に関する知識、および職業紹介事業に関連する経験を有する者
  • 職業紹介責任者講習を修了した者

職業紹介責任者講習とは、厚生労働省が指定する機関で実施される講習のことで、職業紹介責任者になるためにはこの講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。

職業紹介責任者は申請時に選任されていなければならないため、申請前に受講できるように計画を立てましょう。

職業紹介責任者講習の実施機関については以下をご参照ください。

参照:厚生労働省 職業紹介責任者講習の実施機関等について

4.事業所に関する要件

有料職業紹介を行うには、ふさわしい事業所を有していることが求められます。事業所は、以下の要件を満たしていなければなりません。

  • 事業所が風俗営業や性風俗関連特殊営業などが密集するなど、職業紹介事業にふさわしくない場所にない
  • 個室の設置やパーテーションによる区分などでプライバシーを保護しつつ、求職者に対応することが可能

※ただし、もっぱらインターネットを利用することで対面を伴わない場合、または事業所の面積がおおむね20㎡以上であれば、この要件を満たせる

  • 事業所名は利用者にとって職業安定機関、またその他の公的機関と誤認させるようなものではない

※例えば、「〇〇ハローワーク」「○○県職業紹介所」など

5.適正な事業運営に関する要件

適正な事業運営に関して、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 申請者が国また地方公共団体でない
  • 有料職業紹介を会員の獲得、組織の拡大、宣伝などの目的に利用しない
  • 事業主の利益に偏った紹介をしない

6.手数料に関する要件

手数料については適切なルールが設定されており、利用者にとって明確なものでなければなりません。

手数料に関して、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 適法な手数料以外に、職業紹介に関していかなる名目の金品も徴収しない
  • 徴収する手数料を明らかにした手数料表を有する

7.名義貸しに関する要件

有料職業紹介を始めるにあたって、名義の借用や名義貸しのための許可申請は禁じられています。

8.国外にわたる職業紹介に関する要件

国外において職業紹介を実施する場合は、さらに以下の要件を満たしている必要があります。

  • 出入国管理および難民認定法、その他出入国関係法令及び相手先国の法令を遵守する
  • 求職者に対して渡航費用その他を貸し付けたり、また貸し付けた相手に職業紹介を行ったりしない
  • 相手先国において活動が認められていない取次機関を利用しない

申請までの流れと必要な書類

有料職業紹介事業の申請は、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局を経由して、厚生労働大臣に提出します。

申請から許可証の発行までにおよそ2ヶ月かかりますので、事業計画から事業開始まで3か月ほどを見込んでおきましょう。

事業開始までの流れと、かかるおおよその時間は以下の通りです。

  • 許可要件の確認(約1日)
  • 職業紹介責任者講習会受講(約1日)
  • 申請書などの準備(1週間)
  • 都道府県労働局にて申請(約1日)
  • 許可書の受領(申請から約2ヶ月)
  • 事業開始

申請に必要な書類

  • 有料職業紹介事業計画書(様式第1号)3部(正本1部、写し2部)  
  • 有料職業紹介事業許可申請書(様式第2号)3部(正本1部、写し2部)
  • 届出制手数料届出書(様式第3号)3部(正本1部、写し2部)

※届出数手数料を選択時のみ

添付書類各2部(正本1部、写し1部) 

共通

  • 最近の事業年度の貸借対照表及び損益計算書(税務署に提出したもの)
  • 所有している資金の額を証明する預貯金の残高証明および貸付金残高証明書
  • 職業紹介責任者講習会受講証明書の写し(職業紹介責任者)
  • 個人情報適正管理規程
  • 業務の運営に関する規程
  • 事業所の登記事項証明書(申請者所有の場合)
  • 事業所の賃貸借または使用賃貸契約書(他人所有の場合)
  • 手数料表(届出制手数料の届出をする場合)

事業主が法人である場合

  • 定款もしくは寄附行為に関する書類
  • 法人の登記事項証明書
  • 住民票の写し(代表者、役員)
  • 履歴書(代表者、役員)
  • 最近の事業における年度法人税の納税申告書および所得税の納税証明書
  • 最近の事業年度株主資本等変動計算書

事業主が個人である場合

  • 住民票の写し(職業紹介責任者)
  • 履歴書(職業紹介責任者)
  • 最近の納税期における所得税の納税申告書の写し
  • 最近の事業年度における納税証明書
  • 預貯金の残高証明書
  • 建物の登記事項証明書、公的機関による不動産の評価額証明書の写し(不動産を資産とする場合)

海外に事業を展開する場合

  • 相手先国の関係法令及びその日本語訳
  • 相手先国において、国外にわたる事業者の職業紹介について認められていることを証明する書類

取次機関を利用する場合

  • 取次機関および事業者の業務分担について記載した契約書
  • 相手先国において当該取次機関の活動が認められていることの証明書類
  • 取次機関に関する申告書

申請に必要な書類と添付書類について、詳しくは下記のページをご参照ください。

参照:厚生労働省 令和 3年 4月 1日から適用される職業紹介事業の業務運営要領

申請にかかる手数料

申請に際して、「許可手数料」と「登録免許税」を納めなければなりません。

許可手数料

有料職業紹介の許可手数料額は、有料職業紹介事業を行う事業所数の数に基づき、以下の金額が必要です。

50,000円+(18,000円×事業所の数-1)

許可手数料は、許可に要する事務処理経費にあたるため、許可または不許可に関わらず徴収されます。また、上記の許可手数料の額に相当する収入印紙の添付が必要です。

登録免許税

登録免許税は、許可一件当たり90,000円になります。登録免許税の領収書は申請書に貼る必要があるため、申請前に納付しておく必要があるでしょう。

綿密な計画と十分な時間をかけて有料職業紹介の開業を目指しましょう

企業の人材不足や、多様な働き方を認める社会情勢などの影響もあり、求職者のみならず企業にとっても有料職業紹介は有用なサービスであり、そのニーズは年々高まっています。

事業としては比較的始めやすく、非常に魅力的な有料職業紹介ですが、開業のためには十分な時間と綿密な計画が欠かせません。

必要とされる書類は、会社の経営状況に関する書類に加え、講習を修了した職場紹介責任者に関する書類や、事業所を賃貸する場合の賃貸契約書など、準備に時間のかかるものが含まれています。

さらに、多岐にわたる許可要件を満たすためには、労働関係の法令に精通し、遵守していくことが必要です。

また、無事に開業したとしても、要件を満たしていないことがのちに発覚すると許可が取り消される恐れがあるため、職業紹介に従事する社員への教育も必要となるでしょう。

今や多くの企業が参入を検討する有料職業紹介ですが、開業に向けて実施すべき項目を明確にし、時間をかけつつ確実に進めていくことで、万全の状態で開業を目指しましょう。

 

 

執筆者 Toshiyu

Toshiyuさんプロフィール電力関連の仕事に13年従事、その後インドネシアに移住して一年のほとんどを海外で過ごす。現在はライターとしてフリーランス・副業・複業に関する記事を執筆。自由な働き方に挑戦する読者へ役立つ情報の発信を目指しています。

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