
IT技術の進歩により、システム開発を仕事とするエンジニアに注目が集まっています。エンジニアと一口で言っても役割ごとに分かれており、その中の一つにインフラエンジニアがあります。
インフラは、システムを構築するうえで必須となる技術です。しかし、インフラエンジニアと聞くと「インフラ基盤を構築するから難しそう」「クラウド化が進んでいるし、今後の需要はなくなるのでは」と思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、インフラエンジニアの概要や将来性について解説していきます。インフラエンジニアに興味のある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
インフラエンジニアってどんな職種?
インフラエンジニアは、システム基盤の設計から運用までを担当する職種で、システム基盤はITシステムを運用していくうえで欠かせないものです。
例えば、スマートフォンで「カレー 作り方」と検索したとしましょう。すると、カレーの作り方を記載した数々のホームページがヒットし、その中から良さそうなホームページをクリックして作り方を見ていくと思います。
実は、パソコンやスマートフォンからホームページが見られるようになっているのは、サーバーにホームページを配置しているからなのです。サーバーがなければ、全世界の人がインターネットを通じてホームページを閲覧することができません。
インフラエンジニアはネットワークの基盤を構築する、非常に重要な職種なのです。
インフラエンジニアの主な業務内容
インフラエンジニアの業務内容は、大きく3つに分けられます。
- 設計
- 構築
- 運用
①設計
設計では、ITインフラの構成やソリューションを考えていきます。ITインフラとはサーバーのスペック、ネットワークの構成、セキュリティの構成などです。
設計をしていくにあたり、依頼者からのヒアリングは必要不可欠です。ヒアリングでは、何人くらいが使うシステムなのか、リアルタイム性が求められるのか、何に使われるシステムなのかなどを明らかにしていきます。ヒアリングを正しく行うことで、ITインフラの構成を正しく設計できるのです。
②構築
次に行う作業は、設計書にしたがってITインフラを構築していく作業です。構築作業は、大きく2つに分かれます。
1つ目は機材の調達関連です。ITインフラ基盤の構築には、サーバーやネットワーク機器の準備が必要不可欠となります。しかし、最近はテレワークの普及によってシステムのクラウド化が進んでいます。そのため、必ずしもサーバーやネットワーク機器を用意しなくても、クラウド上で完結するケースも多いでしょう。
2つ目はサーバーやネットワークの設定作業です。機材調達の完了後は、それぞれをシステムで使える状態にしなければなりません。サーバーの場合は、中に何もデータが入っていない状態のため、OSのインストールからはじまります。OSはパソコン内のシステム全体を管理するもので、アプリケーションの起動などに必要です。OSがなければサーバーとしての役割を果たせないため、サーバーを構築する上での必須作業です。OSのインストール後は、アプリケーションをインストールしたり、システム全体の設定を修正していきます。
構築後は、サーバーへの負荷試験や動作確認を行います。負荷試験では、想定している同時アクセス数に耐えられる構成かどうかの確認が必須です。サーバーのスペックが十分でない場合、アクセスが集中するとサーバーダウンする恐れがあります。サーバーダウンは、ユーザーが不便さを感じるきっかけになるため、十分に注意してテストを行わなければなりません。
③運用
構築とテストの完了後は、いよいよ運用開始です。運用後は、常に動いている状態を保たなければならないため、不具合がないかを監視する必要があります。監視時は、何か不具合が発生するとアラートを出してメールを飛ばす仕組みなどのシステムを構築しておくことで、緊急時の対応を素早く実践できます。
もし、システムに不具合が発生した場合は時間や場所に問わず、すぐに不具合の原因を調査しなければなりません。
インフラエンジニアの将来性が高い2つの理由
インフラエンジニアは、以下の理由から将来性が高いと言えるでしょう。
- 今後も廃れることのない技術のため
- エンジニアの中でも年収が高いため
今後も廃れることのない技術のため
インフラエンジニアの主な業務であるサーバーやネットワークの構築は、新たなシステムが登場し続ける限り必要不可欠な作業であるため、今後も使われていくであろう技術です。インターネットにアクセスするためにはネットワークが必須で、システムを公開するためにはサーバーが必要になります。
日々新しい技術が生まれていますが、IT基盤を構築するサーバーやネットワークは今後も変わらない技術として残り続けるでしょう。
エンジニアの中でも年収が高いため
「求人ボックス 給料ナビ」のデータによると、正社員であるシステムエンジニアの平均年収が496万円であるのに対して、インフラエンジニアは547万円という結果でした。
インフラエンジニアは、システムに必須なIT基盤を構築しているため、今後も需要は高まり続けるでしょう。
参照元:求人ボックス 給料ナビ「インフラエンジニアの仕事の年収・時給・給料情報」
https://求人ボックス.com/インフラエンジニアの年収・時給
インフラエンジニアに必要な3つのスキル
インフラエンジニアに必要なスキルは、大きく以下の3つがあげられます。
- サーバー知識
- ネットワーク知識
- 状況判断能力
サーバー知識
インフラエンジニアとして働くには、サーバーがどういうものなのかを理解し、構築するために行うべき作業を知っておく必要があります。
また、インフラエンジニアを目指すのであればLinuxの知識は必須です。LinuxとはWindowsやMacのようなOSで、他のOSと違い無料で扱えるため、Linuxサーバーを構築する機会は多くなるでしょう。
インフラエンジニアをこれから目指す方は、一から自分でLinuxサーバーを構築してアプリケーションを公開してみるのがおすすめです。
ネットワーク知識
インフラエンジニアとして働く上で、モデムやルーターなどのネットワーク機器に関する理解や、ネットワークを構成する仕組みを知っておくことはとても重要です。
例えば、企業のネットワークを構築する場合、拠点ごとにネットワークを構築しなければなりません。拠点間をネットワークでつなげる場合には、VPNという技術が活用されます。こうした接続方法に関する知識を身につけておかなければ、上手くネットワークを構築することができないため、ネットワークに関する幅広い知識が求められるでしょう。
状況判断能力
状況判断能力とは、問題が発生したときに何が原因であるのかを切り分ける力です。インフラエンジニアは、「常にシステムを稼働し続ければならない」というプレッシャーの中で運用保守を任せられるため、問題が発生したらすぐにシステムの復旧作業をしなければなりません。
問題発生時、システムの停止時間はできる限り短時間にする必要があるため、原因をすぐに見極めなければならないのです。
例えばあるシステムが停止したとき、アプリケーションに問題があるのか、サーバー本体の故障であるのかを切り分けて判断しなければなりません。また、切り分け作業をする際は、本番のシステムへ影響を与えないように進めなければならないため、常にリスクを考えて行動することが必須です。
IT基盤が崩れてしまうと他のシステムに影響する可能性も高いため、インフラエンジニアは素早い対応とリスクを考えた行動を常に意識しなければいけないのです。
インフラエンジニアは今後も必須な職種である
今回は、インフラエンジニアの業務内容や必要なスキルについて解説しました。インフラエンジニアは、IT基盤を構築する重要な役割を担っているため、今後も需要が高い職種であると言えます。
また、システムエンジニアと比べて平均年収が50万円以上高いため、金銭的にも優れていると言えるでしょう。
これからエンジニアを目指したい方は、インフラエンジニアも選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
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執筆者 Yukki
大学卒業後、第一地銀、外資系コンサルに勤務し、現在はエンジニア業務をこなしながらライター業にも従事。取り扱うテーマは、これまで勤務経験のあるテクノロジー領域を中心に発信。これまでの専門性を活かした読者のみなさまに貢献できるような内容を積極的に取り上げていきたい。