
採用には、新卒採用や中途採用以外に「キャリア採用」があるのはご存じでしょうか?キャリア採用と聞くと、中途採用と一緒ではないかと思う方も多いでしょう。
しかし、キャリア採用と中途採用には大きな違いがあります。違いを理解することで、企業の採用活動をする目的が明確化され、優秀な人材の確保につながるでしょう。
そこで今回は、キャリア採用と中途採用の違いや、キャリア採用を成功させるためのポイントを解説します。
企業で採用活動をする3つの目的
企業では、なぜ採用活動に力を入れているのでしょうか?理由は企業によってさまざまですが、主に以下3つの目的があげられます。
- リソースの確保
- 組織の活性化
- 技術の伝承
1.リソースの確保
1つ目の目的は、社内リソースの確保です。
従業員は一度入社したからといって定年まで在籍するのではなく、さまざまな理由によって退職をしてしまう場合があります。そのため、社内のリソースが不足したタイミングで採用活動を行う必要があるのです。
リソースを十分に確保していない場合、新しい事業を始めようと思っても担当できる社員がいないため、企業成長を妨げる要因となってしまいます。
したがって、定期的に業務の棚卸と社内リソースの把握を行い、リソースが不足しているときには採用活動を強化していきましょう。
2.組織の活性化
2つ目の目的は、組織の活性化のためです。
離職率が低く、同じ人間が長く在籍する企業は、定着率が高い優良企業だといえます。一方で、同じ考えを持った人間が集まりやすいため、新しい考えやアイデアが生まれにくいという欠点もあります。
また、間違えた方法で業務を行っていたとしても、社内で行っている業務に疑問を抱くタイミングが少ないため、非効率な業務を続けてしまうでしょう。
そこで、キャリア採用によって外部の人間を入れると、従業員に新たな考え方が広がっていき、従業員に対して良い刺激となるでしょう。
3.技術の伝承
3つ目の目的は、技術の伝承をするためです。
企業では、社内業務を理解した人材からその下の世代へと、業務に関する知識を伝授していかなければなりません。
しかし、社内人材が不足していると、業務の引継ぎをする余裕がなくなるかもしれません。そこで、キャリア採用によって技術の伝承ができる人材を確保するのがおすすめです。
業務内容を属人化してしまうと、業務内容を把握している人物がいないときに業務へ大きな影響を与えてしまうため、技術の伝承と並行して属人化を防ぐ取り組みをしていきましょう。
採用には「新卒採用」「中途採用」「キャリア採用」の3つがある
採用形態には、大きく分けて以下の3つがあります。
- 新卒採用
- 中途採用
- キャリア採用
それぞれ解説していきましょう。
新卒採用とは
新卒採用とは、多くの企業で1年に1度実施している定期採用を指しており、学校を卒業予定の学生を対象としています。
新卒採用では、スキルや経験よりも人間性や今後のポテンシャルが重視されます。即戦力ではなく、将来的に会社を支える人材になるのを期待した採用になるため、成長して戦力になるまでコストがかかるでしょう。
中途採用とは
中途採用とは、一般的に企業で何らかの事情が起きた場合に、不定期で実施される採用のことを指します。
中途採用で重要になるのは、社会人としてのマナーや基礎知識を有していることです。中途採用の募集内容は企業によって異なりますが、社会人経験が1~3年目程度の第二新卒を募集したり、ある程度スキルを身につけた人材を募集したりするケースがあります。
キャリア採用とは
キャリア採用では、スキルや経験を持ち、即戦力で活躍できる人材の採用を目的としています。
企業によっては、中途採用とキャリア採用を同じものとして扱う場合もあるでしょう。キャリア採用では即戦力人材を獲得できるため、育成にかけるコストを最小限に抑えられます。
キャリア採用と中途採用との違い
キャリア採用は即戦力人材の獲得を目的としているのに対して、中途採用は社会人としてのスキルを身につけているものの、業務に関しての育成が多少必要となる場合が多いです。
中途採用については異業種から転職してくることも考えられるため、新卒採用に近い目的を持つこともあります。
キャリア採用と中途採用の違いを明確化するためにも、求人を掲載するときに、経験年数や資格の有無、業務経験を詳しく記載すると、ミスマッチを防げるでしょう。
キャリア採用に必要な3つのポイント
キャリア採用を成功させるためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 採用したい人物像の明確化
- 面接での見定め
- 採用後の受け入れ態勢づくり
1.採用したい人物像の明確化
1つ目のポイントは、キャリア採用のゴールとなる人物像を明確にすることです。
何事においても、始めるときにはゴールを決めなければなりません。キャリア採用においても同様であり、どのような人物を採用すべきなのか、採用チーム全体で共通の認識を持っておく必要があります。
もし採用チームで認識の共有ができていなかった場合、本来欲しかった人材とは別のスキルを持った方を採用してしまい、せっかくのキャリア採用が台無しになってしまいます。
また、応募がなかなか来ずとりあえず採用してしまうと、採用後にスキルなどのミスマッチが発覚し、思っていた成果を得られないことも考えられます。
したがって、人物像を明確にしておけば、基準を超えた人物のみを効率良く採用することができるでしょう。
2.面接での見定め
2つ目のポイントは、企業で定めた人物像を満たすかを面接で見定めることです。
面接では、今までの経歴や経験などを聞いていく中で、自社にふさわしい人間かを見定めなければなりません。そのため、事前にどういった内容を聞くべきかを採用チーム内で検討しておくと良いでしょう。
また、自社の経営理念に共感しているかも重要なポイントです。経営理念に共感していない場合、企業への定着率が低くなってしまう危険性があります。
スキルだけで判断するのではなく、自社が取り組んでいる業務内容や経営方針に対する考えを聞いておくのがおすすめです。
3.採用後の受け入れ態勢づくり
3つ目のポイントは、実際に入社してからの受け入れ態勢を強化することです。
キャリア採用で入社した方の中には、面接時に聞いた話とギャップがあったり、人間関係がうまくいかなったりすることで、すぐに離職してしまうケースがあります。
そのため、キャリア採用者の定着率を高めるためにも、受け入れ態勢の強化が重要になるのです。入社後は、定期的にフィードバック面接を実施して悩みや課題を聞き出したり、既存社員と交流する機会を作ったりするのが大切です。
新卒社員の受け入れ態勢を強化している企業は多く見られますが、意外と抜けがちなのがキャリア採用の受け入れであるため、定着率を高めるためにも受け入れプランを設計しておきましょう。
キャリア採用で即戦力の人材を獲得しよう
今回は、キャリア採用と中途採用との違いや、キャリア採用を成功させるためのポイントを解説しました。
キャリア採用は即戦力人材が中心となるため、入社後すぐに活躍が期待できます。しかし、ポイントを意識せずに採用活動を行ってしまうと、採用後に想定していた人材ではなかったというミスマッチが生じてしまいます。
これからキャリア採用を導入したい企業の人事担当者は、今回の記事を参考に採用活動を進めていきましょう。
執筆者 Yukki
大学卒業後、第一地銀、外資系コンサルに勤務し、現在はエンジニア業務をこなしながらライター業にも従事。取り扱うテーマは、これまで勤務経験のあるテクノロジー領域を中心に発信。これまでの専門性を活かした読者のみなさまに貢献できるような内容を積極的に取り上げていきたい。